2026.2.2 mon

VOL.1 TALU、はじめました。

 

こんにちは。TALUのいのうえしょうこです。2024年10月に作家のすぎやまさゆりと共に作家ユニットとしての活動を始めて一年。対話を重ねたり、色々なところへ出かけたりして模索をしながら、2025年の10月に初のシリーズ「ZURE」を発表することができました。

作品を世に出したことによって、まわりの人からコメントや感想をいただく機会が増えましたが、それらを受け止めながら感じているのは、TALUのあり方は自分たちが自覚しているよりずっとユニークなのではないか、ということ。確かによく考えると、ふたりの作家で一つの作品を作りあげるというスタイルはやや珍しいのかもしれません。

そこで今回は、TALUの作品づくりや私たち二人の関係性について、改めてさゆりちゃんと話してみることにしました。

(関西出身のふたりですので、関西弁のままでお届けします。)

 

いのうえしょうこ(以下、しょうこ):私たちはお互いにアイデアや技法を出し合って、二人の作家としてひとつの作品をつくりあげる、ということをしてるやん?

 

すぎやまさゆり(以下、さゆり):そうね。カチッと役割分担をするというより「これどうやろか、こうちゃうかな」とか言い合いながら試行錯誤してる感じ。

 

しょうこ特に取り決めることなくこのスタイルになってるけど、こういう作り方をしてるユニットは多くないらしい。

 

さゆり:そうなんや。自然ななりゆきやったからか、あんまり意識したことなかったかも。

 

しょうこものづくりをする人から、「よく二人でひとつのものが作れますね」と言われたことがあるねん。確かにユニットなら、それぞれが別の作品を作ったり、同じ作品を作るにしても役割がはっきりしているところが多いのかな。

 

さゆり:ふんふん。

 

しょうこ:だからこうしてうまくいってるのは、客観的には不思議に見えるんかもね。実際、お互いに言いたいことは言うけど、バチバチにぶつかることはないし。(笑)

 

さゆり:そうね。でも、なんとなくの役割分担はあるよね。例えば技術的な研究は基本的にしょこちゃん。

 

しょうこ:逆にアイデア出しはさゆりちゃんが多いよね。

 

さゆり:色使いや仕立てに関しては、無意識的にしょこちゃんに委ねてる部分があると思う。私はポンポンと発想するのは割と得意なんやけど、微妙な違いに対するセンサーはしょこちゃんのほうが圧倒的に強いと思う。

 

しょうこ:風呂敷を広げまくるタイプやもんね、さゆりちゃんは。(笑)私は逆に掘っていくタイプなんかもなぁ。

 

さゆり:私が子どもが絵を描くように描いたアイデアスケッチの中から、しょこちゃんに選んでもらって、チューニングしてもらうことが多い気がする。

 

しょうこ:実現可能性を踏まえて、ね。(笑)

 

さゆり:そうそう。私は技術のことを度外視してアイデアを出してしまうから、「こんなん絶対無理」というものも多いんよね。空想に近いというか...。

 

しょうこ:でもそうやって自由に発想を膨らませてくれることが、私にとってはとても価値がある。さゆりちゃんが表現したいと思うことをなんとしても形にする、というのが私の使命だと思ってます。

 

さゆり:そこまで思ってくれてたん!?でもこのスタイル、個人的にはとてもしっくりきてる。

 

しょうこ:相対的に得意なところを任せ合う感じで進んでるから、さゆりちゃんらしくあると同時に私らしくもあるという、ひとつの作品が自然と生まれるんやと思う。お互いのいいところを生かし合えてる感じがするね。

 

 

さゆり:TALUでの活動には基本的にルールみたいなものは作っていないけど、感覚的に嫌なことはしない、ということはユニットを始める時に決めたやん? 

 

しょうこ:そうね。作家ユニットとして、自分たちがやりたいと思う創作活動を突き詰めようということと、ふたりのうちどちらかでも違和感を感じることはやらんとこう、ということだけは決めたね。

 

さゆり:そんな中で見えてきたのは、お互い嫌やと感じることがちがったりもするけど、少なくともかなり理解はし合えるということ。例えばしょこちゃんは、詰めが甘いものがとにかく嫌やん?

 

しょうこ:そうね。

 

さゆり:私が「これも作品の味とちゃうかな」と思ったりしてても、しょこちゃんにはただ詰めが甘いだけのものに見えていたり。仕上がりが計算されていないように見えるものは、容赦なくNGにするよね。私にはそういう感覚はあまりないけど、しょこちゃんの職人的なこだわりや解像度の高さを理解はしてるし、尊敬してるから、都度確認して、判断を委ねるようにしてる。

 

しょうこ:確かに、お互いに何が嫌でどこまで許容できるのかという話は割と徹底的にするようにしてるよね。逆に「好み」に関してはお互いにちょっとずつずれているのは分かってるけど、そこまで突き詰めることはしてないよね。

 

さゆり:感覚的なものはどれだけ説明してみても結局は理解しきれへんもんね。

 

しょうこ:「これって⚪︎⚪︎に見えへん?」って言われて、一生懸命見たり触ったりしてみるけど、どんだけ頑張っても最後までわからへん、なんてこともあるよね。

 

さゆり:色選びなんかもそう。例えば「春っぽい色を選ぼう」と言って出し合っても、私が選んだ色がしょこちゃんの感覚的には「秋の色」やったり。ある程度までは共感できるけど、経験してきたものや、培ってきた感覚は違うから、完全には掴みきれへんよね。

 

しょうこ:別にわからなあかんわけでもないしね。

 

さゆり:うんうん。全然伝わらへんなぁと思う時もあるけど、それでぶつかったりはしない。

 

しょうこ:ただ、ずれているという事実が明らかになる、という。(笑) そしてそのズレを今回はどう着地させる?ってその都度ふたりで考える。作品をつくるって、そういうことの積み重ねなんじゃないかなぁ。

 

 

さゆり:しょこちゃんはTALUを始める前から、家具雑貨のデザイナーとか、仕覆や茶道具作家として活動してきたやん?

 

しょうこ:うん、TALUの前身のkrasというブランドを立ち上げて活動を始めてからは10年以上経つなぁ。

 

さゆり:その頃からしょこちゃんの作品を見てきた人たちにとっては、TALUはどんな風に見えてるんやろう。

 

しょうこ:イメージがちょっと、ちがうやろなぁ。前の活動を知ってくださっている方には「最近はポップな感じなんやね」みたいに驚かれることもある。狙ってイメージを変えたわけじゃなくて、さゆりちゃんとやりたいことに身を委ねていたら自然とそうなった、ということやねんけどね。

 

さゆり:確かに、茶道具やお仕覆を作っているしょこちゃんのイメージをお持ちの人は驚かはるやろねぇ。

 

しょうこ:私にとってTALUは、あくまでさゆりちゃんとの二人の表現の箱であることが大切。だからブランドイメージがある程度固まってたkrasと切り離したことには、すごく意味があったと思ってる。世界感を作り込むことよりも、その時々の自分たちの興味の移ろいに従って、つくりたいと思うものをつくれる環境が欲しいという気持ちがあって。まだまだ湧いてくるアイデアに身を委ねる旅をしたい時期やねんなぁ。

 

さゆり:うんうん。私も今、ブランドや世界観がどう、というよりもピュアに創作活動を楽しんでる感覚。しょこちゃんと一緒やと、できることが次々に現れるからね。

 

しょうこ:今TALUが作っているZUREシリーズはポップやけど、突然「バリ渋」なものをつくるということだってありえる。

 

さゆり:あんまり肩肘張らずに、これからもふたりならではの表現を探していけるんじゃないかなぁ、と思ってます。

 

二人のおしゃべり、楽しんでいただけたでしょうか。これからも、私たち二人が考えていること、見つけたもの、興味があることなどなどを色々と紹介していけたらと思います。次回は、私たちが考える「ものづくり」について。お楽しみに!